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「ごはんとひとしごととアート」光安匠さん

インザラフでは、22年9月より、西荻窪周辺で活動する作家さんを迎え、さまざまなアート作品を展示する「ごはんとひとしごととアート」を不定期で開催しています。これまでに11人の作家さんが参加し、作品を展示してきました。


今回は、昨年10月に引き続き、2度目の登場となった光安匠さんにお話を聞きました。



大学4年生の光安さん。実は、高校生の夏休みに、インザラフでアルバイトをした経験があります。


「あのときは、料理をしたり、パウンドケーキを焼いたり、普段できないことができて、いい勉強になりました。久しぶりに声をかけてもらって、うれしかったです」


高校時代に写真をはじめ、大学では好きなことを学びたいと、写真学科のある学校に進学。はじめて個展を開いたのは、19歳のとき。清澄白河にある「ハタメキ」というカフェでした。


「細長い店内で、展示する場所も限られていて、“お前はここで何ができるんだ”と問われているような感じがして、とてもいい経験になりました。インザラフは広いので、たくさん飾れるところがいいですね。前回は、あまり準備期間がなくて、少ししか展示できなかったので、今回は、いろんなところを使って展示しました」




椅子の上に置いて展示するというのも、はじめての経験。


「置いて見せるというのは今までやったことがなくて。額に入れて置いてみたら、けっこう気持ちのいい収まり方だなと思って。壁にかけるというイメージしかなかったので、新鮮でした。作品と向き合うのではなく、覗き込むみたいな視点は面白いですね。ギャラリーは、空間を好きに使えるけど、カフェだと壁に穴を開けられないとか制限があるので、不自由な面もあるけど、その中でどう置くか考えるのも楽しいです」




お客さんとゆっくり話せるところもカフェ展示のいいところだそう。


「ギャラリーだと、作品を見て、少し話をしたら帰るという感じだけど、カフェはゆっくりおしゃべりしたりお茶したりできるのも、いいなと思います。今回は、10年ぶりに会う幼馴染が来てくれたり、大学の先輩が仕事帰りに寄ってくれたり、以前、撮影させてもらったお家の方が来てくれたり、ありがたいし、うれしかったです。もちろん、写真を目当てに来る人だけじゃなくて、食事やお茶をしにくる人が多いので、そういう人たちがたまたま作品に出会えるという偶然性みたいなのも、カフェならではで面白いなと思います」



今回の個展「深化と、」では、冬の写真を並べた光安さん。2022年の冬の東京にはじまり、岩手、東北、知床の冬の景色が収められています。


「暑いので、寒そうな写真で涼みたいなと思って(笑)。今年の2月に、知床でアーティスト・イン・レジデンス(滞在製作)をやっていた友だちから、映像を撮ってほしいと頼まれて、手伝いに行きました。その時の展示で、ぼくの映像も流れたんですけど、撮っていた写真は出せなかったので、ちょっと消化不良なところもあって、展示したいと思ったということもあります」





知床の雪が舞う風景を見ているだけで、冷たい空気感が伝わってきますが、寒さはあまり覚えていないのだそう。


「アドレナリンが出ていたのか、撮っていると集中してるので、寒さはあんまり感じなかったですね。寒さでいったら、東北の方が寒かった。死にかけました。福島で泊まるところがなくて、友だちと3人で車中泊をしたんです。車のエンジンを切って。凍えるってこういうことなんだなと。鼻呼吸ができなくて、うまく寝られないんです。息が止まって目が覚める、みたいなのが何回かあって、朝、外が明るくなってきた、と思った時に撮った写真もあります。生き延びたと感じた瞬間でした」


車窓から写した朝の光


「これからも写真を撮り続けるだろうな」という光安さん。展示して面白いなと思うのは、お客さんの反応から、そういう見方もあるのかという気づきがあること。自分では意識していなかった発見もできるといいます。


「インザラフの展示は、ギャラリーとは違うところでやりたいと思っている人には、いいと思います。西荻という地域感があるというのもいいですね」


次はどんな風景を見せてくれるのか。この先の活躍も応援しています。


*光安さんのように作品を展示したいと思っている方は、お気軽にお問い合わせください。

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